PALとは?

当院で採用しているPAL®はアメリカmicroaire社の電動アシスト脂肪吸引器です。
Power Assisted Liposuction の頭文字から来ています。
25年以上の歴史があり信頼と実績のある器械で、PALを使用した論文も数多く出ており、アメリカでは脂肪吸引を行うドクターの10人中8人が使用している、まさに使うことが当たり前の器械なんですね。

5年以上前に初めて使う機会があった時に感動してmicroaire社と何年も交渉し、ようやく日本でも使えるようになりました。
導入に際し、福田が日本で唯一、microaire社公認のPAL指導ドクターに任命されました。

脂肪吸引の世界で知らない人はいないAlfred Hoyosはじめ、世界の著名なドクターでPALを使用していないドクターはいないと言っていいでしょう。

Alfred Hoyos PAL® 脂肪吸引の新時代!

似たような器械があるけど?

注意しないといけないのはPAL®はmicroaireの器械の名称であり商標登録もされています。
vibrofitなどPALの類似品を最新式のPALとうたう宣伝も見かけますが全てPALの偽物でPALではありません。

ちなみにvibrofitはブラジル製の器械でもともとPAL®のカニューレをmicroaireの認可外で作っていた会社で、近年器械本体を真似して作るようになった会社です。使用感はあまり良くないのとPAL®と価格もそう変わらないので私が使うことはないと思います。

PALのメリット

PALを使用する多くのメリットがあります。

・手術時間の短縮

手術時間が訳35%短縮されるという報告があります。※1
私の実感としてもそのくらい効率的に吸引できていると感じています。
手術時間が短いことは患者さんの負担が少なく早い回復にもつながります。
手術中に使用する麻酔薬の量を減らせますし、手術中の体温の低下なども防げるからです。

※1 Katz BE, Bruck MC, Coleman WP. The Benefits of Powered Liposuction Versus Traditional Liposuction: A Paired Comparison Analysis 2001. Dermatol Surg: 27:863- 967.

・ダウンタイムの軽減

術後のダウンタイムも軽減するという報告があります。※1
術中の出血が少ないため、術後の血腫や漿液腫(水が溜まる)という合併症の確率が低くなります。
また、論文によると術後の痛みも少ないようです。
痛みに関しては、たしかに7日目の抜糸の時に「追加で痛み止めが欲しいです」という患者さんがかなり少ないので痛みに対する効果もあるのかもしれません。
この辺は7日目以降の追加の鎮痛剤処方の割合をデータにして発表したいところです。

※1. Katz BE, Bruck MC, Coleman WP. The Benefits of Powered Liposuction Versus Traditional Liposuction: A Paired Comparison Analysis 2001. Dermatol Surg: 27:863- 967.

・定着の良い脂肪が取れる?

PAL® 脂肪吸引の新時代!

PALで吸引した脂肪は細胞生存率が高いことが分かっています。※2,3,4
PALはボディデザインもキレイにしっかり行えて、脂肪注入豊胸など脂肪を移植する治療にも相性のいいまさにベストな器械と言えます。

※2. Keck M, Kober J, Riedl O, Kitzinger HB, Wolf S, Stulnig TM, Zeyda M, Gugerell A. Power assisted liposuction to obtain adipose-derived stem cells: impact on viability and differentiation to adipocytes in comparison to manual aspiration. J Plast Reconstr Aesthet Surg. 2014 Jan;67(1):e1-8. doi: 10.1016/j. bjps.2013.08.019. Epub 2013 Sep 3.
※3. Cytori Commissioned Study, Evaluation of MicroAire Tissue Collection Method on Adipose Tissue and ADRCs. 2011.
※4. InCell Commissioned Study, Comparison of Cells Isolated from Fat Collected by Power-Assisted Liposuction (PAL) or Suction Assisted Liposuction (SAL). 2011.

・滑らかな仕上がり

PAL® 脂肪吸引の新時代!

PALは前後3mmで最大5000サイクル/分の振動をする器械ですが、性能の良い電動歯ブラシのようなイメージです。
ドクターの腕の動きにプラスして先端が細かく振動するので、一つの動きでより接する表面積が大きく取りむらができにくく最初から滑らかな吸引ができます。
以前の手動の吸引の場合には、あらかた量を取った後に細いカニューレで最後に取りむらをならしていくというような手順が必要でしたが、PALでは最初からキレイにならしながら吸引しているというイメージで手術ができます。

・ドクターの疲労の軽減

ドクターの手術の疲労が49%軽減されるという報告があります。※1
これは私も大いに実感していて、ずいぶん汗をかかなくなりました。
前職では一日何度もシャツを変えてたんですが、PALを使いだしてからほとんど変える必要がなくなりました。
実は開業にあたってシャワー室まで作ったんですがまだ一回も使っていません^^;
疲労が少ないというのは手術のクオリティにも大きく影響します。
より集中力が持続しますし、加えて手術時間も短くなっているので最後までより細部にこだわった手術ができるようになりました。

※1. Katz BE, Bruck MC, Coleman WP. The Benefits of Powered Liposuction Versus Traditional Liposuction: A Paired Comparison Analysis 2001. Dermatol Surg: 27:863- 967.

PALのデメリット

・初心者向きでない?

指導上の話になりますが、PALはハンドピースに重量があります。
なのでカニューレ先端の深さの感覚が少し掴みづらいなと感じています。
脂肪吸引はブラインドの手術なので、両手の感覚で吸引する層を感じ取る必要があるのですが、深いと筋層に入ったりさらに深いところの血管や神経を傷つけるリスクがあります。
なので最初は従来の軽い手動の吸引でしっかり感覚をつかんでからPALに移行するのがいいのではないかと思います。

・ドクターのリスク

電動アシスト脂肪吸引器は便利な機械でメリットが大きいのですが、術者に対するリスクがあります。
振動病です。一世代古いPAL-650についての論文で、1.5時間以上の使用で振動病のリスクが増える、1日6時間以上の使用は推奨しないという報告があります※5
現在の最新式のPAL-750は改良されてスマホのバイブレーションよりも大人しいと感じるのでリスクは少なくなっているはずですが、他社の製品だと振動がかなり強いものがあります。アキーセルやvibrofitはかなり振動が強いので気を付けて使用しないといけないのかもしれません。
PALではないですが、振動病だけでなくテニス肘になったというような報告もあるようです。外科医生命に関わるので注意が必要ですね。

※5. Chaowen Wu, Stephen Laswell, James A Mentz, Rolando Morales, Vibration Exposure Safety Guidelines for Surgeons Using Power-Assisted Liposuction (PAL), Aesthetic Surgery Journal, Volume 41, Issue 7, July 2021, Pages 783–791, https://doi.org/10.1093/asj/sjaa373

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